シニアならではのピアノの楽しみ方

シニアのピアノは楽しいものでなければ長続きしません。

マイナスだけではない「加齢」を知る

新たな挑戦によりピアノを弾きはじめたシニアが、
指を動かすことで脳も活性化されれば素晴らしいですね。

でも、その学びが楽しいものでなければ、長続きしません。

そのために、シニアとして、まず考えなければならないことがあります。

それは、加齢とともにさまざまな機能が低下するのは、自然な現象だということです。

60〜65箴で、ぼとんどの人に「加齢(エイジング)」の兆候が現れます。
加齢というと、悪い面ばかりが取り上げられがちですが、ピアノ演奏においては、マイナスなことばかりではありません。

加齢について理解した上で、弾き方や練習方法を工夫しましょう。

@知識を増やすことも楽しむ

ひたすら指を動かして練習するだけではなく、挑戦している曲についての知識を増やしましょう。

図書館でもインターネットでも、時代背景や作曲家について調べることができます。
作曲家が、どんな世界に生きていて、どういう想いでこの曲を作ったのか。
それを知ることで曲の表現も変わってくるはずです。

たとえば、ベートーヴェンの「月光」。
何も知らなければ、月の光をイメージしながら弾きたくなってしまいますが、この曲名はベートーヴェンの死後、誰かがつけた通称です。
実際は、身分差のために叶わなかった恋愛への苦悩を表現していると言われています。

これを理解するのは、子どもには難しいですね。

シニアだからこそ、知識を増やすことで感じ方や弾き方も大きく変わってきます。

また、知識に関する脳の部位と指運動に関する脳の部位は別なので、より多くの箇所を刺激し活性化します。

知識学習で表現は大きく変わるということです。

A自分の「経験」に重ねて曲を弾く

シニアは経験を糧にすることができます。

たとえば、楽曲「ふるさと」で「自分がイメージする故郷は、どのようなものですか?」と質問してみると、さまざまな答えが返ってきます。

「私の故郷は金沢なんですけど、冬、玄関を出ると、一面真っ白。聴こえるのはしんしんと降る雪の音だけ。そんな情景が浮かびます」

「子どもの頃によく遊んだ原っぱが浮かびます。遠くには大きな山がそびえていて、何とものとかな光景でした」

それぞれが自分の思い出を持っていて、それを懐かしく思い描きながら楽曲を弾きます。
これこそ、長く生きてきたシニアにしかできない弾き方なのです。

悲しい失恋の曲も、甘い恋愛の曲も、自分の経験と重ねて弾く。
経験豊かなシニアにしかできない楽しみ方です。
指は、子どものように速くは動かないかもしれません。
でも、人生がにじみ出るような昧のある演奏をすることこそ、シニアの強みなのです。

シニアは経験を演奏の糧にできると言えるでしょう。

B楽曲をきっかけに人生をふり返る

子どもは決して、「思い出の曲を弾きたい」などとは言いません。
しかし、シニアは、ほとんどが「思い出のある曲」「若い頃によく聴いた曲」など、過去の人生と関連した曲を弾きたいと思う人が多いようです。
シニアのピアノは、さまざまな思い出とつなかっているのです。
 
いろいろあっだけれど、今こうしてピアノを弾いている自分の人生、それを改めてふり返り統合することは、意義深いことです。
思い出の曲の演奏は、そのきっかけにもなりますね。
 
ピアノは、演奏だけを楽しむのではなく、思い出とともに楽しむことができるのです。

C演奏の上達とともに、自分の世界も広げる

「遠くへ行きたい」を弾いたら、電車に乗ってちょっと遠くに行ってみる。
「さくら貝の歌」を弾いたら、その歌碑が建っている由比ヶ浜に行ってみる。
「波浮の港」を弾いたら野口雨情記念館を訪ねてみる。
「花」を弾けば隅田川を……。
というふうに、想いを広げて練習するシニアが多いそうです。

可能なかぎり、その曲のゆかりの地を訪ね、曲への理解を深めているのだとか。
子育てや、仕事で忙しかった現役時代には、とてもできない学び方です。

・映画曲なら、そのDVDを観てみる
・クラシック曲なら、CDやコンサートで原曲を聴いてみる
・ワルツ曲なら、曲に合わせて踊ってみる
・月の曲なら月を愛で、花の曲ならその花を一輪買ってみる

もしピアノを習っていなかったら絶対にやらなかったであろうことを、どんどんやってみましょう。
曲をきっかけに、自分の世界もますます広がります。
趣味のピアノを120%楽しみましょう。

D仲間と一緒に喜びを分かち合う

弾けなかった曲が弾けるようになるだけで、大きな喜びです。
でも、弾けるようになった曲を誰かに聴いてもらうと、もっと大きな喜びになります。

また、同じようなピアノ仲間とお互いに弾き合うのも、楽しいものです。

時間に少し余裕のもてるシニアだからこそ、ピアノ仲間との交流を、思う存分楽しめるのです。

シニアがピアノの練習に求めているもののひとつに「心の健康」があります。

ピアノを奏でる楽しさ、努力のあとの達成感、うまく弾けたときの成功体験、仲間との楽しい交流。
どれもこれも心が健康になり、幸せな気分になれるのです!

⇒シニアが楽しくピアノを始める方法

 

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