贈り物のマナー

贈り物のマナー


ビジネスの世界では、さまざまな進物の機会に直面します。
贈り方の基本的なルールをきちんと習得するようにしましょう。




■慶弔事の進物

取引先の創立記念祝賀会、担当者の昇進や栄転、役員の病気や不幸、同僚や友人の結婚式、出産・・・。ビジネスの世界では、さまざまな進物の機会に直面します。贈り方の基本的なルールをきちんと習得するようにしましょう。

仕事上自分に贈られてきたものは、たとえ個人名で贈られてきたものでも、上司に報告し皆で分けられるものは分け合うようにします。あまりにも高価なもの、理由のないものなどには注意が必要です。うっかり受け取ってしまい、あとで贈収賄を問われることがないとはいえません。不相応なものが贈られてきた場合は、角が立たないように、丁重にお詫びを添えて送り返します。

贈り物は本来、相手に直接届けるのがエチケットですが、デパートなどから送り届けるときは、挨拶状を添えるか別便で手紙を出すようにします。突然、何の目的かわからないものが送られてきたのでは、受け取るほうが戸惑ってしまいます。

■季節の贈答

・年始回り
最近では、上司や役職者のところへ個人的な年始回りをする人は減っていますが、会社同士では、まだまだ多くのところで年始の挨拶回りをしています。
年賀の品は、酒、タオル、日持ちするお菓子などが多いようです。個人の家に行く場合は、玄関先の挨拶だけにしておきます。引き留められても一応断るほうが礼儀にかなうでしょう。

・お中元
お中元の時期は6月末から7月15日頃までとされています。この時期をすぎたら「暑中御見舞」として贈ります。しかし、「暑中御見舞」としては立秋までで、それも過ぎてしまったら「残暑御見舞」とします。

・お歳暮
お歳暮の時期は12月初旬から25日頃までです。この時期をすぎたら年始に「御年賀」として贈ります。さらに「寒中御見舞」として贈る方法がありますが、このタイミングを逃すと、そのシーズンに贈る機会はありません。季節の贈答はタイミングが大切になります。

■水引

水引きとは、進物の包装に結ぶ飾り用の紙の糸のことです。
細い数条のコヨリを水糊で固めたもので、中央から色が染め分けてあります。贈答の品物、祝儀袋、不祝儀袋には水引きを掛けて贈ります。

・水引きの数
一般に慶事の進物用品には陽の数として奇数本を、弔事には陰の数として偶数本を用います。

・水引きの色 
本引きの色は次のように決められており、濃い色が右に来るように結びます。
  一般慶事・・・紅白
  婚   礼・・・紅白、金銀、金、金赤
  弔   事・・・黒白、銀、銀白、青白、黄白

・水引きの結び方
水引きの結び方には、蝶結びと結びきりの二種類があります。蝶結びは何度も繰り返されるように、結びきりは二度と繰り返されないようにとの願いが込められています。
  蝶 結 び・・・結婚以外のお祝いや普通の進物に使います
  結びきり・・・結婚、弔事、餞別に使います

■のし

のしとは、慶事の贈答品につける標識のことです。鮑を天日干しにした熨斗鮑は、栄養価が高く長持ちすることから、中世には武家の出陣や帰陣の祝儀に用いられました。以来、長生き長持ちの印として祝い事・慶事の贈答品として用いられ、時代の移り変わりとともに熨斗鮑を和紙に包んだ形を「のし」と称して贈答品に添える風習となったのです。
それが紅白の紙を雛包みにして熨斗鮑の上端を覗かせる形となり、その後黄色の紙片を雛包みにしたり、「のし」の文字だけを書くようになりました。
魚、鰹節、鳥など生ものを贈る際には、「のし」はつけないのが普通です。

・表書き
慶事は濃い墨で、弔事は薄い墨で書きます。書く文字の大きさに合わせて、上から一字分ほどあけて書き、最後の字と水引との間に文字一字分のアキができるようにします。
表書きの書き方は祝儀袋・不祝儀袋も掛紙の場合も同じです。

書く文字の種類は次のとおりです。
 結婚・・・壽、御祝、御慶
 弔事・・・御霊前、御仏前、御香典、御香料(仏式)
       御神前、御榊料、御玉串料、御神饌料(神式)
       御花料、御花輪料(キリスト数式)、御ミサ料(カトリック)
 銭別・・・御餞別
 お礼・・・謝礼、薄謝、寸志(目下に贈る場合)

■祝儀袋

・金額や用途によって使い分ける
祝儀袋・不祝儀袋ともにお金を包む中袋と表書きや名前を記入する上包み、そして、その上に掛ける水引きと「のし」から成り立っています。また、上包みだけの簡単なものもあります。用途によって水引きの種類や結び方が違うので、何の目的に使うかで選ぶようにします。また、少ない金額に豪華な祝儀袋ではバランスが悪いので、同じ用途でも包む金額にふさわしいものを選びます。

・名前の書き方
結婚式、葬儀などでは大勢の人がお祝いや香典を持ってきますので、間違えられないよう姓だけでなく名前まで書くようにします。中央、水引の下一文字あけて書き始め、下から一文字分あいたところで書き終わるようにします。会社名を肩書きするときは小さめに書きます。
名刺を貼るのは略式なので避けるべきですが、やむをえず名刺を貼るときは中央よりやや左に寄せて貼ります。
連名で贈る場合は、右側が目上になります。連名で書くのは三名までとし、それ以上の場合は、代表者の名前を書き、その左側に「外一同」と書きます。そして、中包みに全員の名前を書くようにします。

■贈答の注意ポイント

・品選びの注意点
刃物(切れる)や櫛(苦と死)、白いハンカチ(別れ)は、どんな場合でもタブーとされています。そのほ祝い事にお茶(香典返しに使われることが多い)を贈るのも嫌われます。また、目上の人に対して現金を贈るのは失礼とされています。直接肌につけるものも避けるようにしましょう。
また、数は一般的には慶事には奇数、弔事には偶数とされていますが、ダースなどのセット物ならかまいません。奇数・偶数では、四、九、十三などは避けたほうが無難です。
 [場合によってタブーとなるもの]
  新築祝……ストーブやライターなど火に関連するもの
  結婚祝……刃物(切れる)、鏡(こわれる)
  病気見舞い……鉢植え(根づく↓寝つく)

・お礼・お返しの注意点
贈物をもらったときには、電話なり手紙なりでとりあえずお礼は済ませておきます。ただし「香典返し」にはお礼を言ってはいけません。「あとをひく」といって嫌われます。
お返しは、一般的には「慶事は全返し、弔事は半返し」といわれていますが、相手との間柄によって多少変わりますので、適当に判断すればよいでしょう。目上の人からの病気見舞い、目下の人からの中元や歳暮、入学、卒業、誕生、栄転などの御祝、さらに、火事や災害の見舞いに対してはお返しの必要はありません。

 

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